軽乗(けいじょう)「ボールディング(vaulting)」は、最小直径15m以上の円運動をしている馬の上で演技を行う競技で、簡単に言えば馬上体操です。
個人、ペア、チームと3種類に分かれていて、さらにレベルに合わせたカテゴリー分けがされ、演技の内容が変わります。
※円の中央にランガー(Lunger)がいて、ランジラインを使って馬の円運動をコントロールします。
馬も競技レベルに合わせて常歩(なみあし:歩く)、速歩(はやあし:早く歩く)、駈歩(かけあし:走る)と変化していきます。
軽乗(ボールディング)の規定演技に必要とされる技術と動画
ボールトオン(Vault on)
馬の腹帯に触れて両脚でジャンプし → 左脚は下に向けたまま、右脚だけを高く振り上げ→ 骨盤と肩が馬の肩と平行なまま → 逆立ちの姿勢になり、右脚を下げて垂直に背中に跨(またが)ります
ベーシックシート(Basic Seat)
跨ったまま両腕を横に広げ → 手のひらを下に向け指を閉じ、指先は目の高さまで上げ → つま先を下げ静止 → 同時に両腕を下ろします
フラッグ(Flag)
跨った状態から両膝(両足)を同時に馬の背に乗せ、右手はハンドルの上を持ち → 前を向き、あごを肩よりも高くし →右脚と左腕を同時に上げ、指先・つま先は頭の一番高い場所と同じ高さにして静止 → 右脚と左腕を同時に下ろし、ハンドルを掴んで脚を下ろします
ミル(Mill)
跨った状態から、右脚をまっすぐに伸ばして上に上げ → 弧を描くように馬の首を越え左へ移動させながら、身体ごと左を向き右脚を下ろします → 左脚をまっすぐ伸ばして上に上げ、弧を描くように馬のお尻を越え左へ移動させて下ろします → 以下同じ要領で正面に戻ります
シザースフォワード(Scissors Forward)
跨った状態から、両脚を横に開き前に上げ、戻す反動で逆立ち状態に → 右脚を前に左脚を後ろにして交差し → 身体をひねって馬のお尻の方を向いて跨ります
シザースバックワード(Scissors Backward)
馬のお尻の方を向いて跨った状態から、両脚を横に開き後ろに引き、戻す反動で逆立ち状態に→ 左脚を前に右脚を後ろにして交差し → 身体をひねって前を向いて跨ります
スウィングフォワードレッグスクローズド(Swing Forwards legs closed)
跨った状態から、両脚を横に開き前に上げ、戻す反動で脚を閉じて逆立ち状態に → そのまま下ろして跨ります
スウィングバックワードレッグスオープン(Swing Backward legs open)
馬のお尻の方を向いて跨った状態から、両脚を後ろに引き、戻す反動で脚を閉じずに直に振り上げ、頂点で肩幅に開く→ そのまま下ろして跨ります
スタンド(Stand)
跨った状態から、両脚で飛び上がり両脚は平行なまま背の上に立ち上がり → 両腕を横に広げ、手のひらを下に向け指を閉じ、指先は目の高さまで上げ、背筋を伸ばして静止 → 両腕を下しハンドルを掴んで跨ります
フランクファーストパート(Flank 1st part)
跨った状態から、両脚を横に開き前に上げ、戻す反動で脚を閉じて逆立ち状態に → 腰をひねって身体ごと円の内側を向いて、横向きに座ります → 内側の脚を上に上げ → 弧を描くように馬の首を越えて下ろします
フランクセカンドパート(Flank 2nd Part)
跨った状態から、両脚を横に開き前に上げ、戻す反動で脚を閉じて逆立ち状態に → 馬の外側に着地します
軽乗(ボールディング)のルール
国際馬術連盟(FEI)認定競技になる為、ここで規定されている軽乗(ボールディング)のルールの一部を解説していきます。
規定は変更もあるので、細かい部分は国際馬術連盟で確認してください。公認競技会以外では、大会ごとに規定が大きく違う場合もあります。
ユニークなポイントは、採点に馬への配点が25%あるところになります。
軽乗のルール・個人競技(インディビジュアル:Individual)
規定演技と自由演技で1セットになっていて、上級者はさらにテクニカルという演技が加わります。
▼コンパルソリー(Compulsory)
上記の技術を組み合わせた、3段階のレベル分けがされた。規定演技を行います。制限時間はありません。
▼フリースタイル(Freestyle)
制限時間1分間で、自由に演技する事が出来ます。音楽も自分で選択可能。
▼テクニカル(Technical)※上級者のみ
規定されている5種類の演技から3つを選び、それ以外は自由に演技する事が出来、音楽も自分で選択可能。制限時間は1分間。
軽乗のルール・ペア(パ・ド・ドゥ:Pas de Deux)
男女のペアで自由演技を行い、音楽も自分で選択可能。レベルにより制限時間が90秒と2分で分かれています。
※最上位カテゴリーのみ、各人それぞれが連続して規定演技(制限時間なし)も行います。
軽乗のルール・チーム(スクアッド:Squad)
6人チームで構成され、馬の上には同時に3人まで演技が出来、規定演技と自由演技で1セットになっています。
3段階のレベル分けがされた規定演技を、1番と2番が行います(制限時間は6分)。
自由演技は制限時間4分で、レベルにより2種類に分かれていて、音楽も自分で選択可能。
軽乗の服装
ピッタリとフィットしていて、審査を妨げないように身体のラインを隠さないもので、動きや安全なやりとりを阻害しないもの。スカートはタイツ又はレギンスの上にのみ着用可能。
軽乗用の腹帯(はらおび)ボールディングサーシングル(Vaulting surcingle)
脇腹の位置に左右1つずつループ(輪)があり、背中部分にも左右1つずつハンドルが付いています。