地面に置かれた毬(まり)を、長さ1~2mの毬杖(まりずえ、きゅうじょう)を使って、自チームの色の毬を毬門(まりもん)へ、規定数入れるまでを競う競技です。
乗馬競技のポロと起源は同じと言われ、ヨーロッパではポロとなり、東洋では中国で打毬となり日本へ伝わったそう。
奈良時代や平安時代には宮中の年中行事となり、鎌倉時代以降は衰退していったものの、江戸時代に諸藩で再び盛んになったそうで、宮内庁には江戸時代の様式で保存されています。
現在行われているのは、全国で2カ所だけで、それぞれ打毬のルールが違います。
・青森県八戸市の長者山新羅神社(ちょうじゃさんしんらじんじゃ)で毎年8月2日に行われる、加賀美流騎馬打毬(かがみりゅうきばだきゅう)
・山形県山形市の豊烈神社(ほうれつじんじゃ)で毎年10月6日に行われる、豊烈神社の打毬(ほうれつじんじゃのだきゅう)
打毬とポロの違いとは?
2チームに分かれて馬に乗り、ボール(球)をスティック(杖)で扱い、ゴールへ入れるという大きな枠しか共通していません。
ポロは1つのボール奪い合い、相手チームのゴールへ入れますが、打毬のルールでは最初から複数の毬が地面に置かれていて、自チームの色の毬をゴールへ入れます。
ポロはゴール毎にコートが入れ替わり、ゴールが反対側に変わり、7分間のチャッカ(ゲーム)を8回行い、ヘルメットやニーパッド等の防具を着用しますが、打毬のルールには一切ありません。
豊烈神社の打毬のルール・進行と流れ・服装等
全8騎が4騎ずつ赤と白に分かれ競技馬場(ばば)へ入り、赤4つ、白4つの地面に置かれた毬を、長さ約2mの木製の毬杖(まりづえ)を使って掬い、自チームの色の毬を自チームの毬門へ、全部投げ入れるまでを競います。
毬童子(まりどうじ)が、赤白の毬を4つずつ、馬場内の地面に並べていきます。そして、それぞれの色の毬門から4騎ずつ入場し、試合開始の合図で競技開始。
追留幣(おいどめのぬさ)という目印が立ててあり、ここを越えて投げてはいけません。ここより手前から投げ、ノーバウンドで自チームの色の毬門へ投げ入れるとゴールになります。
ゴールをすると、赤チームなら鐘が鳴り、白チームなら太鼓が鳴らされます。ゴールしなかった毬は馬場に戻されます。
両チームがそれぞれ最初の1個をゴールした後は、相手の毬を反対方向に転がしたり、妨害をする事が許されるようになります。
ただし、後ろからの妨害や、毬杖は毬杖のみを叩く事が許されますが、馬や人に当てる事は禁止。
先に4つ全てゴールした方が勝ちとなり、全3試合行われますが、最後の3試合目に勝利した方が勝ちとなるのが、打毬のルールになっています。
▼服装等
赤または白の端反り笠(はそりがさ)と襷(たすき)、江戸時代に礼服となった素袍(すおう)、両足を覆う鹿の模様の行縢(むかばき)、足袋(たび)を着用します。
日本在来馬の北海道和種、通称・道産子(どさんこ)に乗り、和鞍(わぐら)、和鐙(わあぶみ)、和銜(わばみ)を使います。
豊烈神社の打毬のルール・進行と流れ・服装等
全6騎が3騎ずつ赤と白に分かれ競技馬場へ入り、地面に置かれた毬を、長さ約1mの竹製の毬杖(きゅうじょう)を作って掬い、自チームの色の毬を毬門の的穴(まとあな)へ、6個投げ入れるまでを競います。
馬場内の地面に置かれた、直径約4cmの赤白の毬を掬い、柵の手前から毬門へ投げ入れるとゴールになります。
ゴールをすると、赤チームなら鐘が鳴り、白チームなら太鼓が鳴らされます。
両チームがそれぞれ最初の1個をゴールした後は、相手の妨害をする事が許されるようになります。
自チームの毬を5個入れると、自チーム用の揚毬(あげだま)と呼ばれる十字の印が入った毬が、新たに馬場へ投げ入れられます。
最後の6個目である揚毬を、先に入れた方が勝ちとなります。
▼服装等
水野沢瀉(みずのおもだか)の家紋が入った紋服の上に、赤地に白か白地に赤の家紋入りの右籠手(こて)、赤か白の紐の紋付陣笠(じんがさ)、紐袴(はかま)を着用します。